再就職手当のメリット・デメリットとは?条件や金額・流れを解説!

書類を提出するビジネスパーソン

再就職手当をもらうことにはどんなデメリットがあるの?

失業保険より再就職手当をもらう方が得?

再就職手当をもらう条件について知りたい!

本記事では上記の疑問や要望などにお答えします。

再就職手当をもらいたいと考えている方の中には、どのようなデメリットがあるのか不安に感じている方もいるでしょう。

結論、再就職手当をもらうデメリットとは失業保険を満額もらえない点や、焦って再就職先を決めてしまう可能性がある点です。

今回は、再就職手当のメリットとデメリット、もらうための条件や金額などを解説します。

最後まで読めば、再就職手当のメリットとデメリットについて理解でき、利用する方がよいのか判断を下せるでしょう。

再就職手当のメリットとデメリットとは

顎に手を置くビジネスウーマン

再就職手当をもらう前にメリットとデメリットを理解しておけば、後悔するのを防げるでしょう。

  • 再就職手当のメリット
  • 再就職手当のデメリット

ここから、具体的に解説します。

再就職手当のメリット

再就職手当をもらうと、具体的に以下のメリットを得られます

再就職手当のメリット
  • 失業期間を短くできる
  • 非課税である

再就職手当とは、失業保険をもらっている方の早期再就職をサポートすることが目的の制度で、失業期間を短くできる点がメリットです。

失業期間が長くなると「どこにも採用してもらえなかったのだろうか」と、採用担当者に悪い印象を与える可能性があるためです。

社会復帰したとき、失業期間が短い方がスムーズに業務に入りやすいといえるでしょう。

社会保険の扶養計算には含まれるものの、再就職手当は非課税であり、確定申告や年末調整などを気にする必要がない点もメリットの1つです。

再就職手当のデメリット

再就職手当をもらうことにはメリットがあるものの、以下のとおりデメリットもあります

再就職手当のデメリット
  • 失業保険を満額もらえない
  • 自分で申請する必要がある

再就職手当をもらうデメリットの1つは、失業保険を満額もらえないことです。

失業保険の受給期間が3分の1以上残っている状態で再就職することが、条件の1つとなっているためです。

ただし、早期に再就職することでメンタル面の安定や給料などを得られることから、デメリットとはいい切れない部分もあります。

再就職手当をもらうデメリットの1つは、早期に再就職すれば自動的にもらえるものではなく、自分でハローワークに申請する必要がある点です。

再就職手当をもらう条件

空を見上げるビジネスパーソン

再就職手当をもらうには、以下の条件をすべて満たす必要があります。

待機期間を経ていること

再就職手当をもらうには、待機期間を経たうえで再就職を決定する必要があります。

待機期間とは失業保険の受給資格を得てから課される7日間のことです。

ハローワークによって、失業状態にあるのかをチェックする期間として設けられています。

再就職手当をもらうには、待機期間以降に再就職先を決めるのがポイントです。

失業保険の支給残日数が3分の1以上残っていること

再就職手当をもらうには、失業保険の支給残日数が3分の1以上あるときに再就職することです。

3分の2以上残っている状態で再就職すると、より多くのお金をもらえるのが特徴です。

失業保険の支給残日数が3分の1未満の状態で再就職すると、再就職手当はもらえなくなります。

退職した会社と再就職先に関係性がないこと

再就職手当をもらうには、退職した会社と再就職先とが、人事や資本などの面で関係していないことが条件です。

会社が再就職手当を不正受給することを防ぐために設けられています。

意図せず関連会社に就職した場合でも、再就職手当をもらえない点は注意が必要です。

自己都合退職の場合は給付制限の条件を満たしていること

自己都合で退職した方に限るものの、給付制限1ヶ月目に再就職する場合、再就職手当をもらうにはハローワークか人材紹介会社を経由する必要があります。

給付制限とは、失業保険の手続きを済ませてから、もらえるまでの約2ヶ月間のことです。

1年以上働くことが確定していること

再就職手当をもらうには、再就職先で1年以上働くことが確定している必要があります。

1年以上働くことを認めてもらうには、以下の条件を満たすのがポイントです。

  • 雇用期間が1年以上ある
  • 条件なしで契約期間延長がある

雇用期間が1年未満でも、条件無しで雇用期間の延長してもらえる場合は、再就職手当をもらう条件を満たせます。

雇用保険に加入していること

再就職手当をもらう条件として、雇用保険への加入があげられます。

雇用保険とは条件を満たす方の加入が義務付けられており、具体的には以下のとおりです。

雇用保険に加入する条件
  • 1週間の労働時間が20時間以上ある
  • 学生ではない
  • 31日以上雇われる見込みがある

雇用保険に加入するうえでは、パートやアルバイトなどの雇用形態は関係ありません。

過去3年以内に再就職手当をもらっていないこと

再就職手当をもらうには、過去3年以内に再就職手当と常用就職支度手当をもらっていないことが条件です。

原則として、再就職手当は何度でももらうことが可能ですが、1度もらうと3年以上の期間を空ける必要があります。

受給資格を得る前から再就職先を決めていないこと

再就職手当をもらうには、失業保険の受給資格を得たあとに再就職先を決める必要があります。

退職する前から再就職先を決めていた方の場合、再就職手当をもらう対象外となるのが特徴です。

受給決定日まで働いていること

再就職手当をもらうには、再就職手当の受給決定まで働いていることが条件です。

再就職手当の申請は、再就職先の入社日が決定して以降に可能となります。

再就職手当の受給決定以降に早期退職したとしても、再就職手当はもらえます。

再就職手当の金額

通帳と電卓、ボールペン、

失業保険の残日数によって異なるものの、再就職手当としてもらえる金額は失業保険の60%か70%となります。

再就職手当の計算式は、以下のとおりです。

再就職手当の計算式

基本手当日額×失業保険の支給残日数×給付率

  • 失業保険の給付残日数3分の1以上:給付率60%
  • 失業保険の給付残日数3分の2以上:給付率70%

給付残日数が多いと給付率があがり、より多くの失業保険をもらえます。

以下のAさんを事例に、具体的な金額を計算します。

  • 退職時の年齢:40歳
  • 退職理由:自己都合(失業保険の給付日数90日)
  • 基本手当日額:3,900円
  • 再就職のタイミング:失業保険の残日数が30日あるとき

計算式3,900円×30日×60%=7万200円

Aさんの場合、ハローワークから7万200円を一括で振り込んでもらえます。

再就職手当をもらうまでの流れ

書類の受け渡しをするビジネスパーソン

再就職手当をもらうまでの流れは以下のとおりです。

採用証明書をハローワークに提出する

再就職先が決まった場合、ハローワークに報告したあとで、採用証明書を会社に記入してもらいましょう。

失業保険の受給が決まったあとでもらえる「受給者のしおり」の中に、採用証明書が入っています。

ハローワークに一度で受理してもらううえでも、念のため内容を確認するのがポイントです。

再就職手当支給申請書をもらう

採用証明書を記入し終わったあとは、雇用保険受給資格者証と失業認定報告書を揃えてハローワークに提出しましょう。

受理されれば、再就職手当支給申請書をもらえます。

再就職手当支給申請書をハローワークに提出する

再就職手当支給申請書をもらったあとは、退職した会社と関連性がないことを証明する「関連事業主についての証明書」とあわせて、会社に記入してもらいましょう。

内容を確認したうえで、雇用保険受給資格者証と一緒にハローワークへ提出します。

再就職手当を振り込んでもらう

再就職手当支給申請書を受理してもらえれば、1ヶ月から2ヶ月程度で、銀行口座にお金を振り込んでもらえます。

再就職手当をもらえるまでの期間

1万円札を持つ女性

申請したタイミングにもよるものの、再就職手当をもらえるまでには、一般的に1ヶ月から2ヶ月程度かかる傾向にあります。

再就職先で継続して働いているのか、入社日から約1ヶ月後に在籍確認を取ったあとでお金が振り込まれるためです。

再就職手当は一括でもらえるものの、申請が通るとすぐに振り込んでもらえるものではありません。

特に、年末年始などハローワークが混雑する時期は、振り込んでもらえるまでの期間が長くなりやすいと理解しておくとよいでしょう。

再就職手当と失業保険のどちらが得なのか

ガッツポーズするビジネスウーマン

金額のみで見ると、再就職手当よりも失業保険の方がより多くのお金をもらえるのが特徴です。

以下のとおり、総合的に判断すると再就職手当の方が得になる可能性は高いです。

再就職手当をが得になる理由
  • 早期に再就職することによって得られる心の安定
  • 会社からもらえる毎月の給料
  • 失業期間を短くすることで転職に有利になる点

「失業保険を満額もらわないと損になる」と考える方もいるかも知れませんが、あえて再就職を遅らせても得られるメリットは限られます。

短期的に見ると失業保険をもらう方が得に感じるかも知れませんが、長期的な目線で考えると早期の再就職で再就職手当をもらう方が賢明です。

求職活動中は目先の利益を取りたくなるかも知れませんが、再就職することで得られる給料や転職の可能性アップなど、広い視野を持てるとよいでしょう。

再就職手当の注意点

人差し指を立てるビジネスウーマン

再就職手当を申請するときは、以下の点を押さえておくのがポイントです。

  • 雇用形態に関係なくもらえる
  • すぐに退職するともらえない
  • もらってからすぐ辞めてもよい
  • 一度もらうと3年間もらえなくなる

ここから具体的に解説します。

雇用形態に関係なくもらえる

アルバイトやパートの方など、再就職手当は雇用形態に関係なくもらえるのが特徴です。

前述の通り、再就職手当をもらうにはさまざまな条件があるものの、雇用形態に関する条件はないためです。

アルバイトやパートとして働いてきた方も、条件を満たすのかをチェックするとよいでしょう。

すぐに退職するともらえない

再就職手当の注意点として、再就職先に入社してもすぐに退職するともらえない点があげられます。

再就職先に入社後、ハローワークから継続して働いているのかを確認され、働いていると認められると再就職手当がもらえます。

再就職手当をもらうことを目的に早期に就職先を決めることは理想的ですが、焦り過ぎは禁物です。

精力的に求職活動を行い、結果として早期に再就職先を決められるとよいでしょう。

すぐに退職したことが原因で再就職手当をもらえなくなった場合でも、失業保険の受給期間が残っていれば継続してもらえる可能性があります。

ハローワークに問い合わせて確認するのが望ましいです。

もらってからすぐ退職してもよい

再就職手当をもらうまでは、再就職先に在籍していることが条件となるものの、もらってすぐに退職することは問題ありません

再就職手当をもらったあとのことに関しては決まりがなく、支給決定日まで継続して働いていることが条件であるためです。

再就職手当をもらってすぐ退職しても、再就職手当を返還するなどの対応をする必要はなく、自由に使えます。

再就職先をすぐに退職することは望ましくないものの、再就職手当をもらうまでの期間のみでも働けるとよいでしょう。

一度もらうと3年間もらえなくなる

再就職手当をもらうときの注意点として、一度もらうと3年間もらえなくなる点があげられます。

再就職手当のほかに、常用就職支度手当をもらった方も対象となります。

常用就職支度手当とは、失業保険の受給対象となっている障害のある方で、条件を満たす方がもらえるお金のことです。

再就職手当をもらううえで、3年以上の期間を空けることが条件となっている理由として、短期離職の繰り返しを防ぐ点があげられます。

まとめ

ここまで、再就職手当のメリットとデメリット、もらうための条件や金額を解説してきました。

本記事のまとめは以下のとおりです。

本記事のまとめ
  • 再就職手当のメリットは、失業期間を短くできたり非課税であったりする点である
  • 再就職手当のデメリットは、失業保険を満額もらえない点や自分で申請する必要がある点である
  • 再就職手当をもらうには、雇用保険に加入していることや、1年以上働くことが確定していることなどの条件を満たす必要がある
  • 再就職手当でもらえる金額は、失業保険の60%か70%となる
  • 再就職手当をもらうには、ハローワークで手続きを進める必要がある
  • 再就職手当を振り込んでもらえるまでには、約1ヶ月から2ヶ月かかる
  • 総合的に判断すると、失業保険よりも再就職手当をもらう方が得である
  • 再就職手当をもらうときは、雇用形態に関係なくもらえる点や、すぐに退職するともらえない点などを理解しておくとよい

再就職手当をもらうことにはデ

メリットもあるものの、長期的に考えるとメリットの方が多いといえます。

職業選びは慎重に判断する必要があるものの、あえて長引かせることのメリットは少ないといえるでしょう。

再就職手当をもらうことを目標に求職活動を継続し、なるべく早く新しい人生のスタートを切るのが望ましいです。

本記事を参考に、再就職手当のメリット・デメリットについて理解していただければ幸いです。