「傷病手当金」と「失業保険」は、病気やけがで働けなくなったり、働く意志があるのに就職先が見つからなかったりする場合に生活を助けてくれるお金です。
傷病手当金と失業保険はどっちが得なのかな?
自分の条件では失業保険しかもらえない気がする…
せっかく申請するなら損したくない!
この記事では、上記のような疑問を解決するために、傷病手当金と失業保険の受給条件・支給額・支給期間などを徹底比較します!
傷病手当金と失業保険を最大限活用すれば、生活にかかるお金の不安を減らして、再就職へのモチベーションを高められるでしょう。
退職してからのお金の不安を少しでも軽減したい方はぜひ参考にしてください。
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そもそも傷病手当金とは?
傷病手当金は、病気やケガで働けずに休職している人とその家族の生活を保障するために給付されるお金です。
職場で加入している健康保険組合から給付されます。
ここでは解説する内容は以下の通りです。
- 雇用保険の傷病手当との違い
- 傷病手当金の受給条件
- 傷病手当金の計算方法
それぞれの内容を解説していきます。
名称が似ている「雇用保険の傷病手当」との違い
似ている制度として「傷病手当」というものがありますが、傷病手当金との違いは、給付元です。
- 傷病手当金:加入している健康保険組合からの給付
- 傷病手当:雇用保険からの給付
雇用保険の傷病手当は、失業保険を受け取る資格のある人が、求職活動中に15日以上続く病気やケガで働けなくなった場合に支給される手当です。
14日以内の病気やケガの場合は失業保険が適用されます。
傷病手当金の受給条件
傷病手当金の受給条件を確認していきましょう。
- 健康保険に加入していること
- 病気やケガで働けない状態であること
- 休職期間が3日以上続いていること
- 休職中に給与が支払われていないこと
この中で要確認の「病気やケガで働けない状態であること」「休職中に給与が支払われていないこと」について解説します。
病気やケガで働けない状態と認定されるには、通院や入院が必要な状態だけでなく、医師による診断が必要です。
医師による診断を受けず、ただ体調不良で3日以上会社を休んでも傷病手当金はもらえないので注意してください。
会社に行けない、働けない心身の状態になった場合は、病院に行って医師による診断を受けましょう。
休職中に給与が支払われていないことにも注意が必要です。
休職中に会社から給与が支払われていると傷病手当金はもらえません。
有給が残っているからと使ってしまった場合も傷病手当金はもらえないので注意してください。
また、傷病手当金をもらう場合は、医師による診断書を取得して、加入している健康保険組合に申請が必要です。
スムーズに申請を行うためにも、会社や人事担当者に相談して、手続きを進めることをおすすめします。
病気やケガで休職する場合は、ひとりで悩まず会社や人事担当者の手を借りて、傷病手当金を受給しましょう。
生活の保障を得て、治療に専念することで早期の復職を目指してください。
傷病手当金を申請してもらえる金額
傷病手当金でもらえる金額は給料の2/3程度と考えておきましょう。
満額が支給されるわけではないので、注意してください。
支給期間は、休職した日から最長で1年6か月までです。
傷病手当金の計算方法は、健康保険に加入していた期間によって異なります。
12か月以上加入していた場合の計算方法は次の通りです。
「過去12か月間の標準報酬月額の平均÷30日×2/3」
加入期間が12か月未満の場合の計算方法は次の2つのうち低い方です。
- 「1日あたりの支給額 = 加入期間中の標準報酬月額の平均 ÷ 30日×2/3」
- 「前年度9月30日時点の全被保険者の標準報酬月額の平均値÷30日×2/3」
ここでは、月給が30万円の人を例に傷病手当金の金額を計算してみます。
1日当たりの支給額=300,000円÷30日×2/3=約6,666円
標準報酬月額が30万円の場合は、傷病手当金の日額は約6,666円となります。
この計算はあくまでも例です。
加入している健康保険組合やその年度の保険料などによって異なります。
詳しい金額については、加入している健康保険組合に問い合わせてみてください。
大まかの金額としては月給の2/3を30日で割った程度になることを覚えておくといいでしょう。
失業保険とは?
失業保険は、会社を退職して、仕事を探している人の活費費の保障と再就職活動の支援を行うことを目的としたお金です。
- 働く意欲があり、就職すればすぐに働ける状態であること
- 雇用保険に離職日以前の2年間で12か月以上加入していたこと
失業保険でもらえる金額は、年齢や雇用保険の加入期間、働いていた時の賃金や仕事を辞めた理由など様々な要因で決まります。
また、失業保険を満額もらわず、早期に再就職ができた場合は、再就職手当として一括で大きな金額を受給可能です。
このように、失業保険や再就職手当は、失業状態である人が就職活動に専念して、早期に再就職することを支援するための制度となっています。
傷病手当金と失業保険、得するのはどっち?
傷病手当金と失業保険のどちらももらえる状況であれば、得する方をもらいたくなるでしょう。
先に結論を申しますと、傷病手当金の方が得しやすいです。
ただし、条件によって失業保険も傷病手当金ももらえる金額が異なるので、注意しましょう。
傷病手当金と失業保険の受給金額の例を比較して解説します。
一般的には傷病手当金の方がもらえる金額が多い
先ほども申しましたが、一般的には失業保険よりも傷病手当金の方が金額は多いです。
しかし、年齢・雇用保険の加入期間・退職理由などの条件によって金額が異なります。
ここでは、受給者の例をあげて、傷病手当金と失業保険の受給金額を計算してみましょう。
- 東京都在住
- 協会けんぽ加入期間:12ヶ月以上
- 雇用保険加入期間:5年以上10年未満
- 退職理由:自己都合退職
- 退職時の年齢:30歳
- 給与月額:300,000円
上記の条件だと、傷病手当金の支給日額は次の通りです。
300,000円÷30日×2/3=約6,666円
対して失業保険の支給日額は次の通りです。
基本手当日額6,036円
この条件で比較すると、わずかな差ではありますが、傷病手当金に軍配が上がります。
ただし、失業保険の金額は雇用保険の加入期間や退職理由で異なるので、参考程度にご覧ください。
自身の条件や状況に応じて傷病手当金と失業保険を適切に受給することをおすすめします。
すぐに仕事が見つかるなら失業保険がおすすめ
すぐに再就職先を見つけて働き始められる場合は、傷病手当金より失業保険の方が得する可能性が出てきます。
傷病手当金は休職期間中に支払われる給付金です。
そのため、短期間での復職や就職活動を開始できる場合は、給付金額が少なくなります。
対して、失業保険は休職活動中にもらえる給付金です。
退職理由や年齢などの条件によっては、失業保険の方が長くもらえることもあり金額も大きくなります。
また、早期に再就職を果たせば、再就職手当ももらえるため、失業保険を選択した方がいいケースもあるでしょう。
再就職するまでの空白期間を短くできるということも大きなメリットです。
傷病手当金と失業保険のどちらを選択した方が得するかは、その人の状況によって大きく差があります。
金額で決めることも一つの手ではありますが、まずは、病気の治療進度や就職活動の状況などを考えながら、最適な選択をしてみてください。
傷病手当金と失業保険は同時に受給できる?
傷病手当金と失業保険を同時にもらうことができるか、気になる方も多いでしょう。
結論から申しますと、傷病手当金と失業保険は同時にもらうことはできません。
ここでは同時にもらうことができない理由と、就職できない期間が長引く場合の対処法を紹介します。
同時にもらうことはできない
傷病手当金と失業保険を同時にもらうことはできません。
それぞれの制度の目的が異なるからです。
それぞれの目的を確認していきましょう。
病気やケガで働けず休職している人と家族の生活を保障すること
傷病手当金は、「病気やケガで働けない人とその家族」を対象とした制度です。
働ける状況と意欲がある人の求職活動中の生活を支援すること
失業保険は「働ける健康状態で労働意欲を持ちつつも、失業状態である人」を対象とした制度です。
傷病手当金と失業保険の対象者の違いは「働ける状態であるかどうか」という点にあります。
そのため、同時にもらうことができないのです。
同時にはもらえませんが、時期をずらして両方もらうことはできます!
ポイントは傷病手当金を先に申請してもらうことです。
そして失業保険を受給するタイミングを先延ばしに延長することで、両方もらうことができます。
先に失業保険をもらってしまうと「働ける状態」となり、傷病手当金の受給条件を満たせませんので、注意してください。
また、傷病手当金をもらっておけば、失業保険の受給をすぐに開始できます。
自己都合退職による2か月の給付制限が免除されるのです。
就職できない期間が長引く場合は失業保険の受給期間を延長しよう
失業保険の申請期限は原則として、離職した翌日から1年間です。
そのため、傷病手当金を受給中に申請期限が終わってしまうと心配してしまうでしょう。
病気やケガが治ってから、再就職に向けてスタートしたいのに、お金の不安があっては焦ってしまいます。
そんな時のために、失業保険は受給期間を延長することが可能です。
失業保険の受給期間を先延ばしにできる期間は2年から最大4年までとなっています。
失業保険の延長は、ハローワークへの郵送や委任状を持った代理人による手続きが可能です。
入院中でハローワークへ行けない場合でも、延長手続きはできるので安心してください。
「延長」と言っても、給付日数が増えるわけではないので、勘違いしないように注意しましょう。失業保険の受給期間を延長する前に知っておきたいこと
失業保険の受給期間を延長する前に知っておきたいこと
失業保険の受給期間を延長する際に注意するべきことが2つあります。
- 手続きの期限に注意
- 延長期間中は失業保険をもらえない
まず、手続きの期限に注意しましょう。
延長申請の期限は、延長後の受給期間の最後の日までの間です。
逆に、延長手続きを開始できる日は働けなくなった日の翌日以降となっています。
離職前から休職している場合は、離職日の翌日から30日後からです。
これらの期限に注意して、受給期間の延長を申請しましょう。
また、早めに申請をしておかないと、失業保険を満額受け取れなくなる可能性があります。
延長の期限までに申請を行っても、残りの日数が少なければ、失業保険はそこで打ち切りです。
失業保険の受給期間延長を検討している場合は、必ず給付日数を確認して、満額もらえるようスケジュールを確認しましょう。
延長期間中は失業保険をもらえないことも覚えておいてください。
そのため延長中の生活費の確保を忘れないことが大切です。
失業保険の受給期間延長をする場合は、スケジュール確認と生活費の確保を行いましょう。
傷病手当金から失業保険に切り替えるタイミングはいつ?
傷病手当金から失業保険へ切り替えは、医師から働けると判断されたタイミングで行いましょう。
病気やケガが働ける程度まで治ったら、失業保険をもらいつつ再就職に向けて就職活動をスタートできます。
その時点で「働ける状態」となるので、失業保険の申請が可能です。
ここからは、傷病手当金から失業保険へ切り替える際の流れを簡単に解説します。
傷病手当金から失業保険へ切り替えるときの流れ
傷病手当金から失業保険への切り替える流れを7つのステップで解説します。
①必要書類を揃える
まずは必要な以下の書類を集めましょう。
- 離職票
- 雇用保険被保険者証
- マイナンバーカード(もしくはマイナンバーが確認できる書類)
- 本人確認書類
- 写真2枚
- 預金通帳・キャッシュカード
②ハローワークで失業保険の申請をする
管轄のハローワークへ行き、失業保険の手続きを行いましょう。
先ほど紹介した必要書類を忘れることなく持参してください。
ハローワークに着いたら、窓口に行って失業保険の手続きに来たことを伝えれば、手順を教えてくれます。
③指定された日時に雇用保険説明会へ参加する
初回のハローワークでの手続きの際に「雇用保険説明会」の参加日時を指定されます。
この説明会に参加しないと失業保険をもらえないので注意してください。
説明会で「雇用保険受給資格者証」「失業認定申請書」という2つの書類を受け取ります。
1回目の失業認定日も決まるので、確認しておきましょう。
④7日間の待機期間を過ごす
初回のハローワークでの手続きから7日間の待機期間を過ごします。
待機期間中は働くことができないので注意してください。
⑤失業認定日にハローワークへ行く
雇用保険説明会で通知された失業認定日にハローワークへ行きます。
認定日には、2回の求職活動を行う必要がありますが、初回の失業認定日の求職活動実績は雇用保険説明会が1回とカウントされるため、何もしなくて問題ありません。
2回目以降に認定日には、前日までに求職活動を2回行う必要があります。
⑥失業保険が振り込まれる
失業認定日にハローワークへ訪れた後、約1週間で1回目の失業保険が指定の口座に振り込まれます。
⑦健康保険組合へ報告する
最後に健康保険組合への報告が必要です。
働ける状態になったことを報告して、傷病手当金の受給を終了してもらいましょう。
ここまでの7ステップで傷病手当金から失業保険への切り替えが完了します。
まとめ
今回は失業保険と傷病手当金の関係について解説してきました。
ポイントをまとめたので、おさらいしましょう!
- 傷病手当金の方が、失業保険より得しやすい
- すぐ働ける場合は、失業保険を選択しよう
- 傷病手当金と失業保険を同時にはもらえない
- 失業保険の受給時期は延長可能
- 傷病手当から失業保険への切り替えはハローワークで行う
傷病手当はケガや病気で働けない人と家族の生活を保障する制度です。
対して、失業保険は働ける状態にありながら、求職中の人を支援する制度となっています。
対象者が違うため、同時にもらうことができません。
これらの制度を最大限活用するならば、まずは傷病手当金を受給しましょう。
そして、働ける状態にまで回復したら失業保険に切り替えることをおすすめします。
受給金額に関しては、年齢・雇用保険加入期間・賃金など様々な条件が関わっており、どちらが得するかは、その人の状況次第です。
もし受給金額が気になる場合は、一人で悩まず、給付金サポートサービスの利用なども検討してみてはいかがでしょうか?