失業保険は病気の自己都合退職でもらえる?特定理由離職者について解説

胸を押さえるビジネスウーマン

失業保険は病気で自己都合退職したときももらえる?

失業保険の自己都合退職と会社都合退職の違いがわからない…

特定理由離職者と特定受給資格者って何?

本記事では上記の疑問やお悩みなどにお応えします。

病気で会社を退職した方の中には、失業保険をもらえるのか不安に感じている方もいるでしょう。

結論、失業保険は病気で自己都合退職した場合ももらえるのが特徴で、特定理由離職者として認められる可能性もあります

今回は、病気で自己都合退職した場合にもらえる失業保険の特徴や流れを解説します。

最後まで読めば、病気を理由に自己都合退職した場合、国からもらえる失業保険についての疑問点を解消できるでしょう。

失業保険は病気の自己都合退職でもらえる

笑顔の医療従事者

病気で自己都合退職した場合、条件を満たせば失業保険をもらえます

失業保険をもらう条件として、今すぐに働ける健康状態であることがあげられています。

病気を理由に退職したときに失業保険をもらうには、ハローワークで求職の申し込みをするのが最初のステップです。

以下の通り、求職申し込みをしたあとの健康状態によって、もらえる手当は異なるのが特徴です。

  • 働けない期間が14日以内:失業保険をもらえる
  • 15日以上30日未満働けない:傷病手当をもらえる
  • 30日以上働けない:失業保険の受給期間の延長手続きをする

ハローワークで失業保険の手続きをするときに、担当の方の指示に従うとよいでしょう。

失業保険は自己都合退職と会社都合退職で異なる

手のひらを上に向け、案内の仕草をするビジネスパーソン

失業保険をもらうときの条件は、以下のとおり退職理由によって異なるのが特徴です。

  • 自己都合退職とは
  • 会社都合退職とは

ここから具体的に解説します。

自己都合退職とは

自己都合退職とは、以下のとおり自分の都合によって自ら退職を告げることです。

自己都合退職となる事由
  • 結婚・出産
  • ケガ・病気
  • 家族の介護
  • キャリアアップを目的とする転職
  • フリーランスとして独立
  • 懲戒処分
  • 仕事内容や人間関係への不満

会社都合退職する場合と比べると、失業保険の受給期間、入金までのスピードなどで不利になるのが特徴です。

  • 受給期間:90日から150日
  • 入金までのスピード:7日間の待機期間後、2ヶ月から3ヶ月の給付制限期間あり

会社都合退職と比べるとデメリットが多いものの、転職活動の面接において、退職理由を深く聞かれにくい点はメリットです。

会社都合退職とは

会社都合退職とは、以下の通り会社の都合によって雇用契約が終了となることです。

会社都合となる事由
  • 売上低下による解雇や倒産
  • 給料の未払いや一部カット
  • 希望退職制度による退職
  • 契約更新されないことが原因による解雇

会社側の都合によって退職となることから、再就職する時間をとりにくいのが特徴です。

自己都合退職に比べると、以下の通り失業保険の受給期間や、入金までのスピードにおいて優遇されています。

  • 受給期間:90日から330日
  • 入金までのスピード:7日間の待機期間後

会社都合で急な退職を迫られた場合でも、失業保険をもらうことで、再就職までの期間において安定した生活を送りやすくなるでしょう。

病気で自己都合退職しても特定理由離職者に該当する?

机に向かい、冴えない表情をする女性

病気を理由に自己都合退職した場合、以下の通り特定理由離職者として認められるケースがあります。

  • 特定理由離職者の特徴
  • 特定受給資格者と異なる点
  • 特定理由離職者になるメリット
  • 特定理由離職者になるデメリット

ここから具体的に解説します。

特定理由離職者の特徴

特定理由離職者とは、やむを得ないと認められる理由によって退職した方のことです。

病気やケガなどを理由に退職した場合、特定理由離職者となる可能性があり、有利な条件で失業保険をもらえるのが特徴になります。

特定理由離職者として認められる方とは、具体的に以下のとおりです。

特定理由離職者となる方
  • 心身の障害やケガにより、仕事できない状態になった方
  • 就労を希望したものの、契約期間終了で解雇となった派遣社員
  • 父母の死亡や家族の介護、出産などが原因で働ける状態にない方
  • 職場の移転や転勤、引っ越しなどによって、今まで通り通勤できなくなった方

特定理由離職者として認められるには、状況に応じて医師の診断書などの書類の提出が必要です。

退職する直前の1年で、6ヶ月以上雇用保険に加入していることも条件の1つです。

特定受給資格者と異なる点

特定理由離職者と似ているものとして、特定受給資格者があげられます。

以下の表の通り、特定理由離職者と特定受給資格者との異なる点とは、退職理由や失業保険の受給期間などです。

特定理由離職者特定受給資格者
退職理由やむを得ないと認められる自己都合が理由であること
・ケガや病気
・受給期間延長措置による出産・育児
・家庭の事情
・通勤困難など
本人の都合ではなく、会社の都合が理由であること
・倒産、廃業、移転
・解雇・賃金未払い、賃下げ
・労働契約違反
・社員の労働環境、健康に無配慮
受給期間90日から150日90日から330日

失業保険の受給期間が異なることにより、特定受給資格者の方がより多くのお金をもらえます。

失業保険の受給期間は、年齢や雇用保険への加入期間などによって決まるのが特徴です。

特定理由離職者になるメリット

特定理由離職者になることには、以下の表の通りさまざまなメリットがあります

メリット内容
失業保険を受給しやすい・退職するまでの1年間で、6ヶ月以上雇用保険に加入していれば失業保険をもらえる
・自己都合退職の場合、2年間で12ヶ月以上雇用保険に加入していることが条件となる
早く失業保険をもらえる・7日間の待機期間を経て、お金を振り込んでもらえる
・自己都合退職の場合、7日間の待機期間に加え、2ヶ月か3ヶ月の給付制限がある
多くの失業保険をもらえる・条件を満たせば、最大で330日間失業保険をもらえる
・自己都合退職の場合、最大で150日である

特定理由離職者になるデメリット

特定理由離職者になることはメリットもあるものの、以下の表のとおりデメリットもあるのが特徴です。

デメリット内容
手間がかかる不正受給を防ぐうえで、診断書など書類の提出が求められる
ハローワークの判断による希望通りにならないケースがある

前述のとおり、特定理由離職者になるとさまざまなメリットを得られることから、不正受給する方が出てくる可能性もあります。

追加で書類の提出を求められるなど、手間や時間がかかりやすい点がデメリットだといえるでしょう。

ハローワークの判断に頼らざるを得ない点もデメリットの1つです、

失業保険をもらう流れ

スマホを見て笑顔の女性

失業保険をもらうまでには、以下のとおり共通する流れがあります。

  • 会社から雇用保険被保険者証と離職票をもらう
  • 失業保険の加入手続きをする
  • 雇用保険受給説明会で説明を受ける
  • 失業認定日に認定を受ける

ここから具体的に解説します。

会社に退職の報告

失業保険をもらううえでの最初のステップは、会社から雇用保険被保険者証と離職票をもらうことです。

失業保険の手続きを進める中で必要な書類で、退職するタイミングか退職したあとで自宅まで郵送してもらえます。

会社によって異なるものの、離職票は後日郵送となる傾向にあります。

失業保険の加入手続きをする

離職票と雇用保険被保険者証をもらったら、住所を管轄するハローワークで失業保険の加入手続きをしましょう。

ハローワークのサービスを利用するには求職登録をする必要があり、自宅のPCやスマートフォンからあらかじめ登録しておくとスムーズです。

求職登録したあとで失業保険の加入手続きをするには、後述する書類を用意しておくのがポイントです。

書類を忘れたり不備があったりすると、失業保険の手続きを進められない点は注意が必要になります。

提出した書類を受理してもらえれば、受給資格の決定となり、雇用保険受給資格者のしおりを渡されます。

雇用保険受給説明会で説明を受ける

失業保険の受給資格を得たあとは、指定された日時に行われる雇用保険受給説明会へ参加しましょう。

受給資格を得てから1週間後に開催されるのが特徴で、失業保険をもらうには参加が必須です。

雇用保険受給説明会では、今後の手続きや書類の書き方などに関して具体的な説明を受けられます。

雇用保険受給説明会では、以下の2つの書類が渡されます。

  • 雇用保険受給資格者証
  • 失業認定申告書

雇用保険受給説明会に参加するときは、筆記用具と雇用保険受給資格者のしおりを持参するのがポイントです。

失業認定日に認定を受ける

雇用保険受給資格説明会で指定された日に、ハローワークで失業認定を受けましょう

ハローワークで失業保険の手続きをした日から、約3週間から4週間後が初回の失業認定日となります。

初回の認定日以降は、4週間に一度のペースでハローワークへ来庁する必要があります。

失業認定日はハローワークで決められるのが特徴で、プライベートな用事を理由に変更できません。

失業保険の手続きで必要な書類とは

書類に記入するビジネスパーソン

失業保険の手続きをするときは、以下の書類をハローワークに提出する必要があります。

失業保険の手続きで必要な書類
  • 離職票(‐1、2)
  • 本人名義の預金通帳かキャッシュカード
  • 証明写真2枚(縦3cm、横2.4cm)
  • 個人番号確認書類:(通知カード、マイナンバー記載の住民票のコピー)
  • 身元確認書類:(運転免許証、パスポート、運転経歴証明書、障害者手帳、在留カード、特別永住者証明書、精神障害者保健福祉手帳、愛の手帳)

通知カードを利用する場合、住所や氏名に変更があると使用できない点は注意が必要です。

マイナンバーカードは個人番号確認書類と身元確認書類の2つを兼ねているほか、証明写真の提出も不要になります。

効率的に手続きを進めたい方は、マイナンバーカードを用意するのがポイントです。

まとめ

ここまで、病気を理由に自己都合退職した場合も失業保険をもらえることについて解説してきました。

本記事のまとめは以下のとおりです。

本記事のまとめ
  • 病気で自己都合退職した場合、失業保険をもらえる
  • 自己都合退職と会社都合退職では、失業保険としてもらえるお金の金額や入金のスピードなどが異なる
  • 病気で自己都合退職した場合、特定理由離職者として認められる可能性がある
  • 失業保険をもらうには、ハローワークで書類を提出するなどの手続きをする必要がある
  • 失業保険の手続きでは、離職票や身元確認書類などの書類が必要である

病気を理由に退職を余儀なくされた場合も失業保険をもらえるものの、健康状態によっては受給期間延長手続きをする必要があります。

なるべく早くハローワークで求職登録と失業保険の加入手続きを進めると、心の安定にもつながるでしょう

本記事を参考に、病気を理由に自己都合退職した場合の、失業保険に関する疑問を解消してもらえれば幸いです。