会社が倒産しそうで心配…
会社が倒産するのかを判断する方法はある?
倒産する前に退職する方がいい?
本記事では上記の不安や疑問などにお応えします。
会社が倒産しそうだと感じている方のなかには、倒産するサインや退職するタイミングなどを知りたいと考えている方も多いでしょう。
結論、倒産する会社には共通するサインがあり、倒産後に退職するのがポイントです。
今回は会社が倒産しそうなときのサインややるべきこと、給料が未払いとなった場合の対処法などを解説します。
最後まで読めば、会社が倒産しそうなときの心構えや対処法がわかるでしょう。
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会社が倒産しそうなサイン
以下のとおり、会社が倒産しそうなサインは複数あるのが特徴で、慎重に見極めるのが望ましいです。
- 赤字経営が続いている
- 急に経費削減が始まった
- 役員や経理担当が多く退職している
- 社長が居留守を使う
- 給料の支払いが遅れたりボーナスが減ったりしている
- 経理担当者の出席する会議が増えている
- 仕事量が減っている
- 大口の取引先との契約が終了した
- 税理士が頻繁に来社している
- 資産を売っている
- 支払い時期の変更を要求している
- 希望退職者を募集している
- 悪い噂が流れている
ここから具体的に解説します。
赤字経営が続いている
会社が倒産しそうなサインの1つは、赤字経営が続いていることです。
赤字経営が続くと、金融機関からお金を借りにくくなり、結果として倒産するケースがあるためです。
経営状態を判断するうえで効果的なのは、財務諸表になります。
上場企業に勤務している方の場合、「決算短信」「有価証券報告書」などの形式で、Webから入手できます。
非上場企業に勤務している方の場合、経営状態を明確に知ることは難しいかもしれません。
役員や経理の方とコミュニケーションを取るなかで、それとなく聞き出すことも1つの方法です。
急に経費削減が始まった
会社が倒産しそうなサインの1つとして、急な経費削減があげられます。
経費削減しないと経営できないほど、経営状況が悪くなっている可能性があるためです。
経費削減の例は以下のとおりです。
- ボールペンやメモ帳の使用を制限される
- エアコンの温度管理が厳しくなる
- プリンターの印刷が白黒のみとなる
- 社員旅行やバーベキューなどの社内イベントがなくなる
少しでも無駄を省く方針に会社が変わった可能性もあるものの、極端な経費削減は倒産のサインともいえるでしょう。
役員や経理担当が多く退職している
会社が倒産しそうなサインの1つは、同時期に役員や経理担当者の退職が続くことです。
役員や経理担当者の退職が続くということは、「会社には将来性がない」と見切っている可能性があるためです。
役員や経理担当者は会社の経営状況を数字で把握しており、倒産する可能性についてもよく理解しているといえます。
役員や経理担当者が退職することは珍しいことではありませんが、同時期に多くの方が退職した場合は注意が必要です。
社長が居留守を使う
会社が倒産しそうなサインの1つは、金融機関からの電話や取引先の来客時などに、社長が居留守を使うようになることです。
資金面で余裕がないことから、金融機関や取引先などに対応することを避けている可能性が高いためです。
居留守を使うことと同様に、社長が頻繁に外出するようになった場合も倒産のリスクが高まっているケースがあります。
資金難の解消を目的に、金融機関や取引先を訪問している可能性もあるためです。
給料の支払いが遅れる
会社が倒産しそうなサインとして、給料の支払いの遅れがあげられます。
給料の支払い遅延が発生すると、法律違反となり遅延損害金を課されるためです。
遅延損害金として払う必要があるのは、未払いの給料の3%となるのが特徴です。
本来であれば必要がないお金を支払わなくてはいけないほど、会社の資金繰りがうまくいっていないとも捉えられます。
経理担当者の出席する会議が増えている
会社が倒産しそうなサインは、経理担当者の出席する会議が増えることです。
経理担当者は会社のお金の流れを管理していることから、経営状況が悪くなっている可能性もあるためです。
経理担当者の他に、会社の上層部メンバーが参加する会議が増えているときも倒産の可能性が考えられます。
仕事量が減っている
会社が倒産しそうなサインとして、仕事量の減少があげられます。
仕事量が減ると売上も下がることになり、会社の経営を切迫することにつながるためです。
特に、繁忙期にもかかわらず仕事量が減っているケースは倒産のリスクが高まっているといえるでしょう。
仕事量が減ると楽に感じるかもしれませんが、会社の経営においては多くのデメリットがあります。
大口の取引先との契約が終了した
会社が倒産しそうなサインとして、大口の取引先との契約終了があげられます。
大口の取引先は会社の売上に占める割合が大きいためです。
大口の取引先が複数ある場合はともかく、数が限られる場合は経営に与える影響が大きいでしょう。
大口の取引先との契約が終了した場合、倒産の可能性があがるといえます。
税理士が頻繁に来社している
会社が倒産しそうなサインは、税理士が頻繁に来社することです。
一般的に、社長の次に会社の経営状況を把握しているのは顧問税理士で、社長は経営に関する相談を税理士にするケースもあるためです。
会社の規模によっても異なるものの、税理士が来社する目安は、3ヶ月から6ヶ月に1度になります。
今までに比べて税理士が頻繁に来社するようになった場合、倒産のリスクも考えられます。
資産を売っている
会社が倒産しそうなサインの1つは売掛債権、什器備品、車など会社の資産を売っていることです。
利益を補うことを目的に、会社の資産を売っている可能性があるためです。
損失が大きく、売却できずにいた株を売却するタイミングと重なるケースもあるでしょう。
支払い時期の変更を要求している
会社が倒産しそうなサインの1つは、支払い時期を早めることに関して、取引先への交渉を命令されることです。
支払い時期を早めることは、取引先との関係を悪化させるリスクが高い行為であるためです。
リスクがあるにもかかわらず、やらざるを得ない経営状況に陥っている可能性があるといえるでしょう。
会社によっては支払い時期を変更してもらえるケースがあるものの、好ましい行為とはいえません。
希望退職者を募集している
会社が倒産しそうなサインの1つは、希望退職者の募集を始めることです。
一般的に、経営に占める人件費の割合は大きくなりやすいものの、社員を解雇するには相当の理由が必要となるためです。
経営状況が悪化したことを理由に社員を解雇するには、以下の条件をすべて満たす必要があります。
- 人員削減の必要性
- 解雇回避の努力
- 選定基準と人選の合理性
- 解雇手続きの妥当性
前向きな理由によって大企業でも希望退職者を募るケースがあることから、倒産するとはいい切れません。
悪い噂が流れている
会社が倒産しそうなサインとして、業界内で自社の悪い噂が広がっているケースがあげられます。
前述の通り、大口の取引先との契約が終了したり、取引先に支払い時期の変更を要求したりすると、悪い噂は流れやすいでしょう。
あくまでも噂ではあるものの、ときには真摯的に受け止めるべきケースも考えられます。
複数の取引先や同業他社などから悪い噂を聞く場合、倒産の可能性もあると考えるのが望ましいです。
会社が倒産しそうなら倒産前に退職するべき?
会社が倒産しそうな場合、以下のとおり状況に応じて判断するのがポイントです。
- 倒産しない可能性もある
- 倒産してから退職するメリットがある
ここから具体的に解説します。
倒産しない可能性もある
会社が倒産しそうになると退職を考える方もいるでしょうが、一旦冷静になるのが理想的です。
前述の通り、会社倒産のサインは複数あるものの、倒産の回避行動を通して業績が回復するケースもあるためです。
経費削減や希望退職などによって支出が減り、結果としてより利益を生み出しやすい会社に生まれ変わる効果も期待できます。
会社倒産のサインに該当すると不安に感じるかもしれませんが、会社の業績や雰囲気の変化などを肌で感じとるとよいでしょう。
倒産してから退職するメリットがある
会社が倒産しそうな場合、すぐに退職するのではなく、倒産したあとで退職する方がメリットを得られる可能性があります。
倒産する前に退職すると自己都合による退職として扱われ、失業保険をもらう方にとって不利な状況になりやすいためです。
転職活動をするとき、倒産するまで会社に残り続けたことに関して、会社によっては責任感があると評価してもらえる可能性もあります。
会社の倒産で退職する方が得になりやすい
会社が倒産してから退職すると、以下のとおり総合的に判断して得になりやすいといえます。
- 失業保険の受給開始が早い
- 失業保険の受給期間が長い
- 面接官によい印象をもたれやすい
ここから具体的に解説します。
失業保険の受給開始が早い
会社の倒産で退職すると「会社都合退職」として扱われ、自己都合退職に比べると失業保険の受給開始が早くなります。
退職理由による失業保険の受給開始期間の違いとは、以下のとおりです。
- 会社都合退職:ハローワークで求職登録後、7日間の待機期間を経た後
- 自己都合退職:ハローワークで求職登録後、7日間の待機期間と2ヶ月の給付制限を経た後
会社都合で退職すると、約2ヶ月間早く失業保険をもらうことが可能です。
倒産後の生活費として利用するうえで、少しでも早く失業保険をもらえることはメリットがあるでしょう。
失業保険の受給期間が長い
会社の倒産で退職すると、失業保険をより長い期間もらえるのが特徴です。
退職理由による失業保険の受給期間の違いとは、以下の表のとおりです。
【自己都合退職】
雇用保険の加入期間 | 1年未満 | 1年以上10年未満 | 10年以上20年未満 | 20年以上 |
受給期間 | なし | 90日 | 120日 | 150日 |
【会社都合退職】
年齢\雇用保険加入期間 | 1年未満 | 1年以上5年未満 | 5年以上10年未満 | 10年以上20年未満 | 20年以上 |
---|---|---|---|---|---|
30歳未満 | 90日 | 90日 | 120日 | 180日 | なし |
30歳以上35歳未満 | 90日 | 120日 | 180日 | 210日 | 240日 |
35歳以上45歳未満 | 90日 | 150日 | 180日 | 240日 | 270日 |
45歳以上60歳未満 | 90日 | 180日 | 240日 | 270日 | 330日 |
60歳以上65歳未満 | 90日 | 150日 | 180日 | 210日 | 240日 |
自己都合退職で失業保険をもらえる期間は、最大でも150日までとなっています。
一方で会社都合退職の場合、最大で330日もの間に渡り失業保険をもらえるのが特徴です。
失業保険をもらう期間が長くなると、その分だけ働かない期間が長くなるものの、将来についてじっくり考えたいと考えている方にとっては有効です。
面接官によい印象をもたれやすい
会社の倒産によって退職した場合、転職活動をするときに面接官へよい印象をもたれやすい点があげられます。
倒産しそうなことを理由に転職希望した場合と比べると、下の印象を面接官へ与える効果が期待できるためです。
- 厳しい状況でも諦めずに働き続けた精神力
- 最後まで投げ出さない継続力
- 環境に柔軟に適応できる対応力
自己都合で退職すると将来の方向性を変更しやすいといえますが、面接で転職理由を説明するときは工夫が必要です。
倒産によって退職となったと説明しても、転職活動で不利になることはありません。
会社が倒産しそうなときの対処法
会社が倒産しそうなときの対処法は以下のとおりです。
- 貯金する
- 転職活動する
- 有給消化する
ここから具体的に解説します。
貯金する
会社が倒産しそうな場合、突然無職になる可能性があることを踏まえ、今後の生活費を貯めておくとよいでしょう。
「失業保険をもらえるから大丈夫」と考える方もいるでしょうが、失業保険でもらえるのは給料の8割から5割が目安です。
生活費が少なくなると気持ちの面で焦りが生じ、条件面で合わない企業へ再就職せざるを得ないケースも考えられます。
落ち着いて転職活動をするうえでも、ある程度まとまった生活費は必要です。
会社が倒産しそうだと感じたら、無駄な出費を控え、必要最低限のものを買うなど工夫するのが望ましいです。
転職活動する
会社が倒産しそうだと感じた場合、なるべく早く転職活動を始めるとよいでしょう。
倒産後に求職活動を始めても、すぐに理想的な転職先を見つけられるとはいえないためです。
時期によって、ハローワークや転職エージェントなどで掲載される求人は異なることから、長く転職活動をしていればその分、比較検討できます。
仕事が人生に占める割合は大きく、転職先によって人生が変わるといっても過言ではありません。
納得のいく会社に就職するうえでは、じっくりと腰を据えて転職活動をするのが1つの方法です。
業務終了後や休日などを活用し、地道に転職活動を継続するのがポイントになります。
有休消化する
会社が倒産しそうだと感じた場合、残っている有給を消化させてもらいましょう。
会社によって異なるものの、倒産すると有給を消化する権利を失うケースもあるためです。
確実に有給を消化するには、会社が存続しているうちに申請するのがポイントです。
有給を消化することに罪悪感を持っている方もいるかもしれませんが、労働者の権利として法律で認められています。
倒産することがあらかじめ予告されていた場合、会社側は有給の消化を断れないとされています。
会社が倒産しそうで給料をもらっていないときの対処法
会社が倒産すると、資金不足によってやむを得ず給料の未払いが発生するケースもあります。
会社が倒産しそうな状況にある方は、将来の給料をもらえないのではないかと不安に感じているでしょう。
以下のとおり、労働者と家族の生活を守ることを目的に作られた制度を活用するのがポイントです。
未払賃金立替払制度を活用する
会社が倒産して給料をもらえない場合でも、未払賃金立替払制度を利用すれば、「独立行政法人 労働者健康安全機構」にお金を立て替えてもらえます。
立て替えてもらえるお金は最大でも、未払い給料の80%となっているのが特徴です。
制度を活用してお金をもらうには、以下の条件をすべて満たす必要があります。
事業主が満たす条件 | 労働者が満たす条件 |
---|---|
・1年以上事業活動をしてきたこと ・法律上の倒産か、事実上の倒産の事実があること | 法律上の倒産か事実上の倒産の日から6ヶ月前の日より、2年以内に退職していること |
まとめ
会社が倒産しそうなサインや対処法、退職するのに適しているタイミングについて解説してきました。
本記事のまとめは以下のとおりです。
- 会社が倒産しそうなサインにはさまざまなものがあるが、複数の項目を考慮したうえで判断するのがポイントである
- 会社が倒産しそうな場合でもすぐに退職するのではなく、冷静に判断するのが望ましい
- 会社が倒産する前よりも、倒産したあとに退職する方が得しやすい
- 会社が倒産しそうな場合、貯金や転職活動などをするのがポイントである
- 会社倒産した場合に給料が未払いでも、給料の立て替え払いしてもらえる制度を利用できる
会社が倒産しそうになると、誰しも不安に感じるものでしょう。
倒産するときに表れるサインを知ったうえで、厳しいなかでも会社に貢献できることはないか、模索するのが望ましいです。
倒産を免れるケースもあったり、転職活動で有利になったりする可能性があることから、今の会社で最善を尽くすとよいでしょう。
本記事を参考に、会社が倒産しそうなときの対処法について理解していただければ幸いです。