退職したあとの生活費が不安…
退職したらもらえるお金ってあるの?
具体的に知りたい!
本記事では上記の不安や要望などにお応えします。
将来的に退職を予定している方の中には、再就職するまでの生活費に関して不安を感じている方もいるでしょう。
結論、退職したあとは失業保険を始めとする給付金を国からもらえる可能性があります。
今回は退職したあとでもらえるお金に関して解説します。
最後まで読めば、退職したあとの生活の不安を和らげられるでしょう。
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退職したらもらえるお金:失業保険とは
退職するともらえるお金の代表格は失業保険で、以下の点を押さえておくとよいでしょう。
- もらうための条件
- もらえる金額
- もらえる期間
- 振り込んでもらえるタイミング
- 退職理由による違い
ここから具体的に解説します。
もらうための条件
失業保険をもらうには、以下の条件を全て満たす必要があります。
失業保険をもらうための条件 | 具体的な内容 |
---|---|
今すぐにでも働く意志や環境下にあること | 病気やけが、家族の介護、勉強に専念するなどで働けない場合は対象外となる |
退職する前の2年間で、12ヶ月以上雇用保険に加入してきたこと | ・自己都合で退職した方の場合 ・雇用形態に関係ない ・特定理由離職者や特定受給資格者の場合は、12ヶ月で6ヶ月以上に渡り失業保険に加入していることが条件 |
ハローワークで求職登録・受給手続きをしていること | ・ハローワーク以外に、自宅のパソコンを利用して登録できる ・離職票や身分証など、必要書類を窓口に提出する必要がある ・現住所を管轄するハローワークを利用する必要がある |
求職活動をしているものの、内定をもらえないこと | ・原則として月に2回求職活動し、失業認定を受ける必要がある ・ハローワークか、許可を得ている職業紹介事業所などでの求職活動が対象となる |
もらえる金額
失業保険でもらえる金額は、以下の計算式で求められます。
基本手当日額×給付日数
※基本手当日額:(退職前6ヶ月間の給料÷180)×給付率(50%から80%)
失業保険の賃金日額には上限が設けられており、毎年8月1日に見直されています。
もらえる期間
退職理由や雇用保険の加入期間に応じて給付日数は決定され、具体的には以下の表のとおりです。
【会社都合退職者・特定理由離職者・特定受給資格者】
年齢/雇用保険被保険者期間 | 1年未満 | 1年以上5年未満 | 5年以上10年未満 | 10年以上20年未満 | 20年以上 |
---|---|---|---|---|---|
30歳未満 | 90日 | 90日 | 120日 | 180日 | ー |
30歳以上35歳未満 | 90日 | 120日 | 180日 | 210日 | 240日 |
35歳以上45歳未満 | 90日 | 150日 | 180日 | 240日 | 270日 |
45歳以上60歳未満 | 90日 | 180日 | 240日 | 270日 | 330日 |
60歳以上65歳未満 | 90日 | 150日 | 180日 | 210日 | 240日 |
【自己都合退職者】
年齢/被保険者期間 | 1年未満 | 1年以上5年未満 | 5年以上10年未満 | 10年以上20年未満 | 20年以上 |
---|---|---|---|---|---|
全年齢 | 90日 | 90日 | 90日 | 120日 | 150日 |
振り込んでもらえるタイミング
タイミングによって誤差はあるものの、失業の認定を受けたあと、金融機関の5営業日から7営業日を目安にお金を振り込んでもらえます。
指定した金融機関の口座に振り込んでもらえることから、金融機関の情報を正確に申告することがポイントです。
もし7営業日経過しても入金してもらえない場合、ハローワークへ問い合わせると安心できます。
連休明けや年末年始など、ハローワークが混雑しやすい時期においては、振り込みまでに時間がかかる可能性があります。
退職理由による違い
退職理由によって、失業保険の金額や期間などが異なり、具体的には以下の表の通りです。
自己都合退職 | 会社都合退職 | |
---|---|---|
もらえる期間 | 90日から150日 | 90日から330日 |
振り込まれるまでの期間 | 7日間の待機期間+2ヶ月の給付制限 | 7日間の待機期間 |
失業保険をもらううえで、自己都合で退職した方と比べ、会社都合で退職した方の方が優遇されていることがわかります。
会社都合で退職する方の場合、十分に転職活動をできないまま退職となる可能性が高いためです。
退職理由によって、失業保険をもらえる期間や金額などが左右される点を理解してお区のがポイントです。
退職したらもらえるお金:求職者支援制度とは
退職すると利用できる制度の一つは求職者支援制度で、以下の点が基本情報となります。
- 求職者支援制度の特徴
- もらうための条件
ここから具体的に解説します。
求職者支援制度の特徴
求職者支援制度とは、失業している方の再就職支援が目的で、職業訓練を受けながら月10万円のお金をもらえるのが特徴です。
職業訓練とは、再就職するときに役立つ知識やスキルを原則無料で学べる制度で、以下の通り多種多様なコースが設けられています。
- 基礎ビジネスパソコン科
- 営業・販売・事務OA経理事務科
- 医療・介護事務科
- 広告・DTPクリエーター科
- ネイリスト養成科など
条件を満たせば、仕事をしている方も職業訓練を受けられる可能性があります。
自分でスクールに通う場合と比べると、費用の面を心配しなくてもよい点がメリットとなります。
費用を理由にスキルや知識の習得を諦めてきた方にとって、理想の職業に就くチャンスが生まれるケースもあるでしょう。
もらうための条件
求職者支援制度を利用するには条件があり、具体的には以下のとおりです。
- 失業保険をもらっていないこと
- 求職登録をしていること
- すぐに働ける環境で、働きたい気持ちがあること
- 在職している方の場合、労働時間が週に20時間未満であること
- フルタイムでの就労を希望していること
- 年金をもらっていないこと
- 職業訓練受講の必要があると、ハローワークで認められていること
求職者支援制度の条件に該当しないとしても、以下の方は無料の職業訓練を受けられる可能性はあります。
- 退職後に失業保険をもらっていない方
- 失業保険の受給期間が終わった方
- 卒業後に就職していない方
- フリーランスで働きながら再就職を希望する方など
求職者支援制度の内容に関して相談したい方は、ハローワークを利用するとよいでしょう。
退職したらもらえるお金:求職者支援金融資制度とは
退職したあとで、以下の通り求職者支援金融資制度を利用できる可能性があります。
- 求職者支援金融資制度の特徴
- もらうための条件
- 手続きの方法
それぞれ詳しく見ていきましょう。
求職者支援金融資制度の特徴
求職者支援金融資制度とは、職業訓練受講給付金をもらっている方が対象で、給付金のみで生活できない場合にお金を借りられます。
以下の通り、1ヶ月当たりに借りられる金額の上限は5万円か10万円で、訓練を受ける期間に限られます。
- 月額5万円が上限:一人暮らしの方など
- 月額10万円が上限:配偶者や子ども、父母と生活している方。もしくは、別居していても生計が同じ方
一度の手続きで借りられる期間は1年までで、訓練期間が1年以上かかる場合は再度手続きが必要です。
求職者支援金融資制度でもらえるお金は給付金でなく、利息を含めた金額を返済する必要があります。
もらうための条件
求職者支援金融資制度でお金を借りるには、以下の2つの条件をクリアする必要があります。
- 職業訓練受講給付金をもらえること
- 求職者支援資金融資案件確認書をもらっていること
1つ目の条件である職業訓練受講給付金をもらうには、以下の条件を全て満たすことがポイントです。
- ハローワークで求職登録していること
- 失業保険をもらっていないこと
- 働く気持ちやスキルがあること
- 職業訓練を受講する必要があると認められていること
- 月収が8万円以下であること
- 世帯月収が30万円以下であること
- 世帯の金融資産が300万円以下であること
- 現住所以外に土地や建物を所有していないこと
- 訓練日に全て出席していること
- 世帯の中に給付金をもらった上で、訓練受講している方がいないこと
- 過去3年以内に、不正による給付金をもらったことがないこと
2つ目の条件である求職者支援資金融資案件確認書をもらうには、以下の条件を満たす必要があります。
- お金を借りる目的が適当であると認められること
- 借りたお金を返す意思があると認められること
- 暴力団員ではないこと
条件を満たす方は、ハローワークで書類を発行してもらえます。
手続きの方法
前述の条件を満たす方は、ろうきんで口座を開設しましょう。
お金を振り込むための金融機関は、ろうきんのみと指定されているためです。
本人名義の口座から、借りたお金は毎月末に自動で引き落とししてもらえます。
ろうきんの口座を開設するには審査に通る必要があり、ブラックリストに入っている方は審査落ちとなる可能性があります。
カードローンや、クレジットカードの返済を延滞した経験がある方などは注意が必要です。
退職したらもらえるお金:未払賃金立替払制度とは
退職すると未払賃金立替払制度を利用できるケースがあり、以下の点を押さえておくのがポイントです。
- 未払賃金立替払制度の特徴
- もらうための条件
ここから、具体的に解説します。
未払賃金立替払制度の特徴
未払賃金立替払制度とは、会社が倒産し、給料や退職金などが未払いの場合、国から8割に相当するお金をもらえる制度のことです。
未払賃金立替払制度には上限が定められており、88万円から296万円となっています。
ボーナスや2万円以下の未払金に関しては、制度の対象外となります。
具体的には、以下の2つの機関が制度を運営しています。
- 労働基準監督署
- 独立行政法人労働者健康安全機構
正社員のみでなく、アルバイトやパートとして働いている方も対象です。
もらうための条件
未払賃金立替払制度でお金をもらうには、以下の条件を満たす必要があります。
未払賃金立替払制度をもらう条件 | 具体的な内容 |
---|---|
1年以上に渡り、事業を継続してきた事業主のもとで働いてきた方 | ・法人、個人に関係ない ・労災保険が適用されている事業主であること |
賃金未払いのまま、会社が倒産した方 | ・事業主と同居している家族は原則として認められない ・雇用形態に関係ない |
倒産日の6ヶ月前から2年間に退職した方 | ・退職後6ヶ月以内に裁判所や労働基準監督署に申請していること |
自分で申請する必要のある制度で、不明な点がある場合は労働基準監督署に相談するとよいでしょう。
退職したらもらえるお金:傷病手当金とは
退職すると傷病手当金をもらえる可能性があり、押さえておきたい点は以下の通りです。
- 傷病手当金の特徴
- もらうための条件
ここから、それぞれ詳しく解説します。
傷病手当金の特徴
傷病手当金とは、病気やけがが原因で働けない方を対象とし、給料をもらえない場合に国からお金をもらえる制度です。
傷病手当金では失業保険と同額をもらえるのが特徴で、目安として月給の3分の2となります。
支給開始から通算して1年6ヶ月経過するまでの期間、傷病手当金をもらえます。
失業保険と傷病手当金は、同時にもらえない点は注意が必要です。
もらうための条件
傷病手当金をもらうには、以下の条件を満たすことがポイントです。
- 働けない状態であること:医師の意見や業務内容などから判断される
- 勤務時間以外に発生した病気やけがであること:美容整形など、健康保険の対象外となっているものが原因の場合は認められない
- 4日以上仕事を休んでいること:治療のために休み始めた日から、連続する3日間は支給の対象外となる
- 給料をもらっていないこと;給料をもらっていたとしても、傷病手当金よりも少ない場合は差額分をもらえる
健康保険の任意継続を選択している方の場合、在職中から病気やけががあり、退職したときに限り条件を満たせます。
退職したらもらえるお金:特例一時金とは
退職したあとに、以下の通り特例一時金をもらえる可能性があります。
- 特例一時金の特徴
- もらうための条件
ここから、深掘りして解説します。
特例一時金の特徴
特例一時金とは、短期雇用特例被保険者の方が退職したときに、国からもらえるお金のことです。
短期雇用特例被保険者とは、季節的に雇用される方を指す言葉で、具体的には以下の通りです。
- 天候に影響を受ける仕事で、限定した季節に雇用されている方
- 雇用期間が1年未満で、常に短期間で雇用されている方
スキー場や海の家で働く方などは、短期雇用特例被保険者として認められます。
特例一時金をもらうには、退職日の翌日から6ヶ月以内に手続きをする必要があります。
特例一時金でもらえる金額は、基本手当日額の40日分です。
基本手当日額とは、失業保険で1日あたりにもらえるお金を表します。
もらうための条件
特例一時金をもらうには条件を満たす必要があり、具体的には以下の通りです。
特例一時金をもらうための条件 | 具体的な内容 |
---|---|
退職日までの1年間で、11日以上働いた月が通算して6ヶ月以上あること | 令和2年8月1日以降に退職した場合、賃金の基礎となる労働時間が80時間以上の月に限り、1ヶ月として認められるケースがある |
失業していること | 退職し、求職活動を継続しているものの、内定をもらえないこと |
退職したらもらえるお金:就職促進給付金とは
退職するともらえる可能性があるのは就職促進給付金で、以下の点が特徴です。
- 就職促進給付金の種類
- もらうための条件
- 条件
それぞれ詳しく見ていきましょう。
就職促進給付金の種類
就職促進給付金とは、退職した方の早期再就職を促進することが目的で、具体的には以下の制度を表します。
就職促進給付金の種類 | 具体的な内容 |
---|---|
再就職手当 | ・失業保険をもらっている方が、早期に再就職するとお金をもらえる制度 ・再就職したタイミングに応じて、失業保険の6割か7割の金額をもらえる ・支給決定までに再就職先を退職すると、お金を振り込んでもらえない |
就業促進定着手当 | ・再就職手当をもらい、半年以上勤務したものの、前職より給料が少ない場合にもらえるお金のこと ・再就職から6ヶ月経つまでに雇用保険の加入資格を失ったり、再就職先で雇用保険に未加入だったりする場合、お金をもらえない |
就業手当 | ・失業保険をもらえる方が、再就職手当の支給対象とならない雇用形態で再就職した場合にもらえるお金のこと ・失業保険の支給残日数が3分の1以上かつ45日以上あり、条件を満たすともらえる ・失業保険の3割に相当するお金をもらえる |
常用就職支度手当 | ・障害があるなどで就職困難な方が、失業保険をもらっているときに再就職するともらえるお金のこと |
再就職手当をもらうための条件
就業促進給付金の一つである再就職手当をもらうには、以下の条件を全て満たすことがポイントです。
- 7日間の待機期間を経て再就職していること
- 失業保険の支給残日数が、3分の1以上残っている状態で再就職していること
- 再就職先と前職の会社とが、人事や資金、取引面などにおいて密接な関係ではないこと
- 再就職先で、1年以上雇用しもらえる見込みがあること
- 過去3年以内に就業促進給付金をもらっていないこと
- 受給が決まる前に、再就職先を決定していないこと
- 再就職手当の支給が決まるまで、在職していること
条件を満たせているのかわからない場合、ハローワークに問い合わせるとよいでしょう。
再就職手当でもらえる金額
再就職手当でもらえる金額は、以下の計算式で算出できます。
基本手当日額×支給残日数×給付率
基本手当日額とは、失業保険の1日当たりにもらえる金額で、雇用保険受給資格者証で確認できます。
支給残日数とは、失業保険の残り期間で、雇用保険受給資格者証の裏面に記載されています。
給付率とは、再就職したタイミングによって決定されるもので、具体的には以下の通りです。
- 支給残日数が全体の3分の2以上残っている場合:70%
- 支給残日数が全体の3分の1以上残っている場合:60%
再就職するタイミングが早いと、より多くの金額をもらえる可能性があります。
まとめ
ここまで、退職したらもらえるお金に関して具体的に解説してきました。
本記事のまとめは以下の通りです。
- 退職した後でもらえるお金の一つは失業保険で、退職理由によってもらえる期間や金額などに違いがある
- 求職者支援制度により、毎月10万円のお金をもらいながら再就職するためのスキルや知識を学べる
- 求職者支援金融資制度の条件を満たせると、職業訓練期間中に国からお金を借りられる
- 会社が倒産し、給料や退職金が未払いでも、未払賃金立替払制度によって立替払いしてもらえる
- 病気やけがで働けない場合、傷病手当金をもらえる可能性がある
- 短期雇用特例被保険者の方が退職したあとで、条件を満たせば特例一時金をもらえる
- 退職した方の早期再就職の促進を目的に、就職促進給付金の制度が設けられている
退職したあとの生活面をサポートすることを目的に、国はさまざまな制度を用意しています。
給付金をもらったり、制度を利用したりするには条件を満たす必要があるものの、失業中の生活の支えとなるでしょう。
本記事を参考に、退職したあとの生活面の不安を軽減してもらえれば幸いです。