特定受給資格者と特定理由離職者の違いは何?
特定受給資格者と特定理由離職者になるメリットはある?
条件について知りたい!
本記事では上記の疑問や要望などにお応えします。
これから退職する方の中には、なるべく優位な条件で失業保険をもらいたいと考えている方も多いでしょう。
結論、失業保険をもらうときに特定受給資格者や特定理由離職者であると認められれば、失業保険をもらうときに優位に立てます。
今回は、特定受給資格者と特定理由離職者の特徴や違い、メリットなどを解説します。
最後まで読めば、特定受給資格者と特定理由離職者の違いや特徴などに関する疑問を解消できるでしょう。
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特定受給資格者と特定理由離職者の違い
特定受給資格者と特定理由離職者で異なる点とは退職理由で、どちらに該当するのかは居住地を管轄するハローワークによって判断されます。
特定受給資格者とは倒産や解雇など、主に会社側の責任によって退職する方のことをいいます。
特定理由離職者とは、契約更新されないことややむを得ない事情などにより退職する方のことです。
退職理由を判断するとき、ハローワークは以下の手順で実施するのが特徴です。
- 離職証明書により、会社側が主張する退職理由をチェックする
- 離職票により、退職者が主張する退職理由をチェックする
- 双方の主張をチェックしたうえで、資料によって事実確認する
退職理由をチェックすると会社側と退職者の主張が異なるケースもあることから、労働契約書や賃金台帳などの提出を求められるのが一般的です。
特定受給資格者になる条件は?
特定受給資格者としてハローワークに認めてもらうには、以下の条件を満たす必要があります。
- 営業停止など4つの理由のいずれかに該当する方
- 賃金未払いなど13の理由のいずれかに該当する方
ここから具体的に解説します。
営業停止など4つの理由のいずれかに該当する方
特定受給資格者として認められるには、以下の4つの条件のいずれかによって離職する必要があります。
- 倒産によって離職していること
- 大量の離職予定者が発生した影響で離職していること
- 会社の営業停止によって離職していること
- 会社の移転によって通勤困難になり離職していること
以下の理由によって会社が倒産し、退職を余儀なくされた方は特定受給資格者として認められます。
- 破産
- 民事再生
- 会社更生などの各倒産手続の申立て
- 手形取引の停止
以下の通り、会社で1度に大量の退職者が出ることにより退職した方は特定受給資格者ります。
- 1ヶ月の間に30人以上の退職者が出る予定が発生(退職届が出された)したことにより退職した方※30人以上の退職者が出る場合は再就職援助計画を作成する必要があり、再就職支援援助計画を申請した場合も該当する。30人未満の退職者の場合でも、事業規模の縮小を理由に退職者させる方に関して再就職援助計画を提出し、ハローワークに認められた場合も該当する
- 失業保険に加入している方のうち、3分の1以上の方が退職したことにより退職した方
会社の営業がストップし、今後事業再開の見込がないことが理由で退職した方は、特定受給資格者として認められます。
会社が移転し、自宅から通勤できなくなったことを理由に退職した方は、特定受給資格者として認めてもらえます。
賃金未払いなど13の理由のいずれかに該当する方
特定受給資格者として認められるには、以下のいずれかの理由によって退職する必要があります。
- 解雇されたこと
- 労働契約を結ぶときの条件が事実と大きく異なっていること
- 賃金の未払いが発生したこと
- 賃金が一定の比率以下になったこと
- 多くの時間外労働の発生・会社が行政機関からの指摘を無視したこと
- 妊娠や出産後などにもかかわらず働かされたこと
- 生活面に配慮しない職種変更が行われること
- 3年以上働いてきたものの契約期間が延長されなかったこと
- 契約期間が更新されるとなっていたものの実際には契約更新がなかったこと
- セクハラヤパワハラがあったこと
- 退職勧奨を受けたこと
- 会社が原因である休業が引き続き3ヶ月以上続くこと
- 会社の仕事が法律に違反したこと
ここから具体的に解説します。
会社から解雇された方は特定受給資格者として認めてもらえます。
ただし、本人が重大な過ちを犯したことによって解雇された場合は認めてもらえません。
労働契約を結ぶとき、会社から提示された条件が事実とあまりに異なることを理由に退職した方は、特定受給資格者として認めてもらえます。
給料の支払い日に3分の1以上の金額が支払われないことを理由に退職した方は、特定受給資格者として扱われます。
以前もらっていた給料と比較し、給料が85%以下になったり低下したりすることが明確になったことで退職した方は、特定受給者となります。
退職する直前の6ヶ月間で、以下の時間外労働が発生したことにより退職した方は特定受給者として認められます。
- 連続する3ヶ月間で45時間
- 1ヶ月の間に100時間
- 連続する2ヶ月以上の時間外労働時間の平均が月に80時間以上
もしくは、健康障害を発生させる可能性を行政機関から指摘されつつも、会社が何も対策を講じないことを理由に退職した方も特定受給者となります。
会社が法律に違反し、以下の労働者を働かせたり雇用の継続を図る制度を不当に制限したりしたことで退職した方は、特定受給資格者として認められます。
- 妊娠中
- 出産後
- 子どもの養育中
- 家族の介護中
妊娠・出産や制度を利用したことで不当な扱いを受けたことを理由に退職した方も同様に、特定受給資格者となります。
職種転換などが行われるときに、職業生活の継続が可能であるのかを会社が配慮しないことを理由に退職した場合、特定受給資格者として認められます。
有期雇用契約の更新により3年以上働いてきた方が、次回の契約に関して更新されないことを理由に退職する場合は特定受給資格者となります。
ただし、退職する方が継続して働きたい意思を表示しているにもかかわらず、契約更新とならないことが条件です。
雇用契約を結ぶときに契約更新してもらえることが条件となっていたものの、契約更新されなかったことを理由に退職した方は特定受給資格者となります。
ただし、前述の「3年以上働いてきたものの契約機関が延長されなかったこと」を理由に退職した方は除く点に注意が必要です。
上司や同僚などからセクハラやパワハラなどの冷遇・嫌がらせなどを受けたことで退職する方の場合、特定受給資格者として認められます。
出産や育児休業などに関する言動により、労働環境が悪化していることを会社側が把握していながら、何も対策してもらえなかったことを理由に退職した方も特定受給資格者となります。
会社から直接もしくは間接的に退職勧奨を受けたことを理由に退職した場合、特定受給資格者として認めてもらえます。
ただし、もともと設けられている「早期退職制度」などに応募したことで退職した方は対象外となる点は注意が必要です。
退職勧奨を受けても応じる必要はなく、あまりに執拗な場合は違法となり訴えることも可能です。
会社に原因のある休業が発生している方で、さらに3ヶ月以上の休業となることが判明したことによって退職した場合、特定受給資格者として認められます。
会社で行っている業務が法律違反となったことにより退職した方の場合、特定受給資格者となります。
特定理由資格者になる条件は?
特定理由資格者として認められるには、以下の条件を満たす必要があります。
- 労働契約満了したあとで契約更新してもらえなかったこと
- 正当な理由であると認められる自己都合退職であること
ここから具体的に解説します。
労働契約満了したあとで契約更新してもらえなかったこと
労働契約満了となったことで退職した方は、特定理由資格者となります。
労働契約の期間に定めがある方で、契約満了時に契約更新してもらえなかったケースが該当します。
契約更新のときに継続して働きたい意思を示していることがポイントです。
ただし、前述の特定受給者として認められる条件である「3年以上働いてきたものの契約期間が延長されなかったこと」「契約期間が更新されるとなっていたものの実際には契約更新がなかったこと」に該当する方は対象外です。
正当な理由であると認められる自己都合退職であること
自己都合で退職した方の場合、原則として特定理由離職者として認められません。
- 体力不足や心身の障害など
- 妊娠や出産・育児など
- 父か母の死亡・扶養
- 配偶者や親族との同居が困難になったこと
- 通勤不可・困難になったこと
- 人員整理のための早期退職者の募集に応募したこと
上記の条件のうち、いずれかを満たす方は特定理由離職者となります。
体力不足や心身の障害、疾病、負傷、視力減退、触覚の減退などを理由に退職した方は特定理由離職者となります。
雇用保険法第20条第1項の受給期間延長措置を受けた方の中で、姙娠、出産、育児などにより退職した方は特定理由離職者として認められます。
父か母の死亡、病気やケガなどによって扶養する義務が発生したことを理由に退職した方は、特定理由離職者となります。
病気やケガなどにより、常に介護が必要となった親族がいることを理由に退職した方も同様です。
配偶者や親族と別居生活が困難になったことを理由に退職した方の場合、特定理由離職者として認められます。
通勤不可や通勤困難となった方の中で、以下の条件を満たす場合は特定理由離職者となります。
- 結婚による住所の変更
- 育児による保育所などの施設の利用や親族への依頼
- 通勤困難な場所への会社移転
- 自分の意志と関係ない住所や居住の移転
- 鉄道やバスなど運輸機関の廃止や運行時間の変更
- 事業主の命令による転勤か配偶者の再就職による別居の回避
前述の特定受給者として認められる条件のうち、「退職勧奨を受けたこと」に該当しない方で、希望退職者に応募した方は特定理由離職者として認められます。
特定受給資格者・特定理由離職者のメリット3つ
特定受給資格者や特定理由離職者として認められると、失業保険をもらうときにさまざまなメリットを得られます。
- 失業保険をもらう条件が緩和される
- 失業保険をもらえる期間が長くなる
- 失業保険をもらえるまでの期間が早くなる
ここから具体的に解説します。
失業保険をもらう条件が緩和される
特定受給資格者・特定理由離職者となると、以下の通り失業保険をもらう条件が緩和されます。
- 特定受給資格者・特定理由離職者:退職する直前の1年間で、6ヶ月以上失業保険に加入していること
- 自己都合退職者:退職する直前の1年間で、12か月以上失業保険に加入していること
自己都合で退職した方と比べると、特定受給資格者や特定理由離職者は半分の期間で条件を満たせるのが特徴です。
失業保険をもらえる期間が長くなる
失業保険をもらえる期間に関して、以下の通り自己都合退職者と特定理由離職者・特定受給資格者では、倍以上の差が出るケースもあります。
【自己都合退職】
対象年齢 | 1年未満 | 1年以上5年未満 | 5年以上10年未満 | 10年以上20年未満 | 20年以上 |
---|---|---|---|---|---|
全年齢 | 対象外 | 90日 | 90日 | 120日 | 150日 |
【特定受給資格者・特定理由離職者】
年齢(歳) | 1年未満 | 1年以上5年未満 | 5年以上10年未満 | 10年以上20年未満 | 20年以上 |
---|---|---|---|---|---|
30未満 | 90日 | 90日 | 120日 | 180日 | 対象外 |
30以上 35未満 | 120日 | 180日 | 210日 | 240日 | |
35以上 40未満 | 150日 | 240日 | 270日 | ||
45以上 60未満 | 180日 | 240日 | 270日 | 330日 | |
60以上 65未満 | 150日 | 180日 | 210日 | 240日 |
失業保険をもらえるまでの期間が早くなる
特定理由離職者・特定受給資格者となるメリットは、給付制限期間がなくなる点です。
以下の通り、自己都合退職者と比較すると早い期間で失業保険をもらえるようになります。
- 自己都合退職:失業保険をもらうには7日間の待機期間に加えて、2ヶ月の給付制限期間を経る必要がある
- 特定受給資格者・特定理由離職者:失業保険をもらうには7日間の待機期間を経る必要がある
失業保険を振り込んでもらうまでには、およそ2ヶ月の差があります。
特定受給資格者や特定理由離職者となると失業保険を早期にもらえることから、生活費の面で恩恵を受ける方も多いでしょう。
特定受給資格者・特定理由離職者に関するよくある質問
特定受給資格者や特定理由離職者に関してよくある質問をまとめました。
ここから具体的に解説します。
特定理由離職者の条件の体力の不足を証明する方法は?
医療機関に依頼して診断書を発行してもらうのがポイントです。
診断書の発行は原則として自費で、医療機関にもよるものの、目安として3,000円から5,000円程度かかります。
即日発行してもらえるケースもあるものの、2週間程度の時間がかかる傾向にあります。
特定理由離職者になるには医師による診断書はいる?
退職理由によります。
体力不足や心身の障害、疾病、負傷、視力減退、触覚の減退などを理由に退職する場合と、父母の死亡・扶養などを理由に退職する場合は必要です。
失業保険をもらうためには「すぐにでも就労できる健康状態であること」が条件となっています。
病気やケガなどで働ける状態にない方は特定理由離職者になれない点は注意が必要です。
まとめ
ここまで、特定受給資格者と特定理由離職者の違いや特徴、メリットなどを解説してきました。
本記事のまとめは以下の通りです。
- 特定受給資格者と特定理由離職者の違いとは、主に退職理由である
- 特定受給資格者になるには、倒産や解雇などで退職する必要がある
- 特定理由資格者として認められる条件として、労働契約満了、体力不足やケガ、父母の死亡・扶養などを理由とする退職である点があげられる
- 特定受給資格者・特定理由離職者になるメリットとして、失業保険をもらうときに優位に立てる点があげられる
特定受給資格者・特定理由離職者とは、解雇や倒産などによって社会的に不利な立場になった方を救済するために設けられているといえます。
条件を満たす方は、失業保険を早期にもらえたり、より多くの金額をもらえたりする可能性が高いです。
本記事を参考に、特定受給資格者と特定理由離職者の違いなどに関する疑問を解消していただけると幸いです。