失業保険と年金はダブルで受け取れる?どちらもフルで受け取る方法をご紹介!

失業保険と年金は一定の条件をクリアすることで与えられる権利です。

せっかく権利が発生した以上はどちらもフルで受け取りたいと考える人がほとんどではないでしょうか。

実は失業保険と年金はダブルで受け取ることが可能です。

本記事では失業保険と年金はなぜダブルで受け取ることができるのか、その理由やフルで受け取る方法などをまとめています。

ぜひ最後までご覧ください。

失業保険とは何か

失業保険は、再就職先が見つかるまで最低限の生活が送れるように用意されたセーフティーネットの1つです。

一定の条件をクリアした方であれば、退職前の給与のいくらかがもらえるような形で当面の生活費を賄えるようになっています。

失業保険でもらえるのは失業手当であり、他には基本手当など様々な呼ばれ方がされているのが特徴です。

年金に関連がある失業手当3つ

ここからは年金と関係する3つの失業手当についてご紹介していきます。

  • 基本手当
  • 65歳以上の場合は高年齢求職者給付金
  • 60〜64歳のケースは高年齢雇用継続給付

それぞれにどのような違いがあるのかご紹介していきます。

一般的なのは基本手当

1つ目にご紹介するのは基本手当です。

基本手当は先ほどご紹介した失業保険を指しており、新たな職場が見つかるまで生活をサポートしていくセーフティーネットです。

基本手当では最低でも90日分がもらえるほか、会社都合退職であった場合は最長330日分まで付与される場合があります。

年齢や雇用保険の加入期間で給付日数は変更しますが、自己都合退職は最低1年、会社都合退職は最低半年の加入期間で基本手当が受け取れる形です。

65歳以上の場合は高年齢求職者給付金

2つ目は高年齢求職者給付金です。

高年齢求職者給付金は65歳以上を対象にした「失業保険的な要素を持つ給付金」となっています。

性質的には失業保険と変わりませんが、大きく異なるのは一括で支給されることです。

給付金額は基本手当日額の30日分ないし50日分ですが、一括で受け取れるのが魅力的な給付金です。

60〜64歳のケースは高年齢雇用継続給付

3つ目は高年齢雇用継続給付です。

高年齢雇用継続給付は2種類あります。

  • 高年齢雇用継続基本給付金
  • 高年齢再就職給付金

高年齢雇用継続基本給付金は60歳から64歳までを対象とし、5年以上の雇用保険加入期間があった上で、60歳時点の給与と比較し75%未満になっている方に支給されます。

60歳から64歳までの賃金が60歳時点の賃金と比較して61%以下に落ちれば賃金の15%分、75%未満であれば賃金の15%未満で低下率に応じた給付が行われます。

基本的には65歳まで支給されるほか、65歳までに雇用保険の加入期間が5年に到達すれば、到達してから65歳になるまで支給される形です。

高年齢再就職給付金は、60歳から64歳までに再就職した人を対象にしています。

就職先の賃金月額が、賃金日額の30日分にあたる額面の75%未満だった場合、再就職先の賃金月額の15%を上限にして給付されます。

一方、高年齢雇用継続給付制度は段階的な廃止が方針として決まっており、2025年以降に60歳を迎える方から給付率が下がっていく形です。

失業保険と年金は同じタイミングで受け取れる?

失業保険と年金は同じタイミングで受け取ることができますが、年齢によって若干内容が異なります。

  • 65歳以上であれば同じタイミングで受け取れる
  • 60〜64歳だと同じタイミングで受け取れるが減らされる

ここからは2つのケースについてそれぞれ解説していきます。

65歳以上であれば同じタイミングで受け取れる

1つ目のケースは65歳以上であれば同じタイミングで受け取れることです。

厳密には65歳以上の方が受け取れるのは高年齢求職者給付金ですが、高年齢求職者給付金と年金を同時に受け取れます。

年金支給を後ろ倒しにした方は別ですが、65歳から年金を受け取る方は同時に受け取ることが可能です。

60〜64歳だと同じタイミングで受け取れるが減らされる

2つ目のケースは60〜64歳だと同じタイミングで受け取れるが減らされることです。

60歳から64歳までの方は高年齢雇用継続給付を受け取る形となり、失業手当ではないため、年金が止まることにはなりません。

ただし、賃金の6%にあたる金額を上限に、老齢厚生年金の一部が削減されてしまいます。

確かに同時には受け取れますが、満額を受け取れるわけではないので要注意です。

失業保険と年金をフルに受け取る方法

失業保険と年金はどちらも一生懸命働いたことで得られた大事な権利です。

この2つの権利をフルに活用するにはある方法が存在します。

どんな方法なのか、ご紹介していきます。

65歳ギリギリで退職し、65歳直後に失業保険申請を行う

失業保険と年金をフルに受け取る方法としておすすめなのが、65歳ギリギリで退職し、65歳直後に失業保険申請を行うことです。

65歳になる直前に辞めれば老齢厚生年金を受け取れるほか、65歳直後に申請すれば失業保険も受け取れます。

注意したいのが65歳直前の退職が自己都合退職になってしまい、給付制限が生じることです。

また退職金の問題など、辞めるタイミング次第では非常にもったいないことになる場合も十分に考えられます。

ですので、事前に計算を行った上でどちらが得かを見定めておくことをおすすめします。

失業保険と障害年金は同時に受け取れる

年金には色々な種類がありますが、障害年金もその1つです。

失業保険と障害年金は同時にもらえます。

障害年金について

障害年金は、精神疾患や不慮の事故など様々なケースで仕事や生活に支障が出ている方を対象に給付されるものです。

障害年金には、障害基礎年金と障害厚生年金があり、等級に応じて年金支給額が変わります。

失業保険と障害年金の間では併給調整と呼ばれるものがありません

そのため、失業保険と障害年金をいずれも受け取れるようになっています。

障害を抱えながらも仕事を行っている人は多くいるため、失業保険と障害年金は両立できると言えるでしょう。

失業保険と遺族年金は同時に受け取れる

失業保険と障害年金は同時に受け取れますが、遺族年金の場合はどうなのでしょうか。

実は失業保険と遺族年金も同時に受け取れるようになっています

遺族年金について

遺族年金は、世帯において生計を立てていた年金の被保険者が亡くなった際に支給され続ける年金です。

遺族年金には、遺族基礎年金と遺族厚生年金の2つがあり、国民年金の被保険者だった場合は遺族基礎年金、厚生年金の被保険者であれば遺族厚生年金がもらえます。

遺族年金に関しても失業保険との併給調整がありません

こちらも両方しっかりと受け取れるようになっています。

まとめ

今回は失業保険と年金をダブルで受け取れるかという話題をご紹介してきました。

最後に今回ご紹介した内容を振り返ります。

  • 失業保険と年金は年齢によって若干異なるが、基本は同時に受け取れる
  • 障害年金・遺族年金は併給調整がないので失業保険と同時に受け取れる
  • 高年齢雇用継続給付に関しては段階的に廃止が見込まれている

失業保険と年金は同時に受け取れます。

60歳を過ぎてからも働き続ける方は多く、シルバー人材センターなどで地域のために働く方も多いです。

新しい会社で働きたいという気持ちは年齢が何歳になっても変わるものではありません。

様々な制度を活用しながら、負担を軽くしつつ再就職先を探しましょう